2.お客様情報
アカウントプランの一部、「お客様情報」の作成について、解説します。

2.お客様情報

●下記は、アカウントプランの「お客様情報」の一部になる、「お客様概要」の例です。
アカウントプランの作成にあたって最も重要なことは、お客様情報を基に、
「営業シナリオ」「アクションプラン」を定期的に修正・更新することです。
1.お客様名:これは、お客様の正式名称です。
2.会社概要:これは、設立年度や沿革、資本金・従業員数・事業内容・売上高・主要株主・主要取引銀行などです。
3.経営課題:これは、お客様が自社の経営課題として、
(1)公表していること (2)非公表だが営業活動を通じて知り得たこと などで、
お客様自身の「目標」として語られる場合もあります。
「目標」は、未だ達成していないことを掲げるのが通常ですから、「できていないこと=課題」、「目標の裏がえしは課題」 ということになります。
4.情報システム関連情報:当サイトは、情報システム販売の営業活動を取り上げているので、
(1)情報システムの現状 (2)情報システム関連の支出・予算 という視点を中心に記載しています。

 

 

●お客様情報について、最も効率よく調べる手段は、お客様のウェブサイト上にある
「投資家向け情報」 いわゆる「IR資料」を基にすることです。
ここには、中期経営計画・決算説明会資料等として、お客様自身が自社の課題(=困っていること・不十分なこと)、その解決策等に関して述べている場合が多くあります。
また、これらの情報は、お客様自身が自ら発信している内容であるため、これに基づく内容で提案を行えば、提案の前提等に関して、お客様から否定されるリスクが大幅に減ります。
また、特にこうした情報を開示していないお客様の場合には、帝国データバンクや東京商工リサーチなどから個別に情報を入手する(購入する)、或いは既に自社に蓄積されている過去の取引履歴や名刺を整理する、 などの方法があります。
新聞(一般紙・業界紙・地方紙)・雑誌(一般及び特定の業界向け)・インターネット記事の活用も、考えられます。

 

●さらに、お客様の事業計画・組織・パワーストラクチャー、ビジネス案件に関する5W1H(固有名詞と数字)に関しては、営業活動の一部として、営業シナリオやアクションプランに組み込んで、
いつ・誰が・どのようにして情報を得るのか、戦略的・意図的に活動することが必要です。
特に、新規のお客様に対する営業活動や、曖昧なビジネス案件情報しか入手できていない「初期段階」では、こうした情報収集の活動自体が、営業シナリオやアクションプランの主要な内容になります。

 

●お客様情報収集方法の例
〇お客様ウェブサイト(ホームページ):会社概要・会社沿革・投資家向け情報・有価証券報告書・アニュアルレポート・決算説明会資料・中長期経営計画  等のIR資料
〇官公庁発行の白書や統計資料
〇調査会社(ガートナー/IDC等)の発行する市場動向報告書(白書)
〇会社四季報
〇外部セミナーでのお客様講演資料
〇新聞・雑誌等での会社紹介記事・インタビュー記事・導入事例記事
〇競合他社の発表資料(導入事例記事)・カタログ
〇新聞・雑誌

 

●次に、特に新規開拓の営業活動に際して、どのようなお客様情報を集めることが必要か、述べます。
これらは、一般的に、一気に得られる情報ではなく、戦略的・意図的に行う日々の営業活動を通じて入手する考え方が、重要です。
また、新規訪問も、実際には、過去には自社のお客様であったことがあり、何かのきっかけで疎遠になって、新規訪問と同じような状況に陥っている場合があります。 
その場合には、事前に何らかの情報が社内に無いか、調べておくことが重要です。

 

●新規開拓の場合の「お客様からの情報収集」の準備について
訪問前の準備は、オンラインでの面談が日常化すればするほど、重要になります。 
それは、直接の面談よりも、お互いに相手の話す内容・説明の論理展開・資料自体に、
意識を向けざるを得なくなり、それだけこれらの重要性が増すために、準備不足が露わになってしまうからです。
1.初回訪問の準備項目例
初回訪問で最も重要なことは、
「あなた自身やあなたの会社」が、「お客様にとって役に立つ存在であると、お客様に認識してもらう
こと」です。
また、それを前提に、次回のアポイントメントを、「その場」でとっておくことです。新規開拓の初回訪問では、失敗すれば次のチャンスはありません。

 

(1)お客様について調べる
・訪問先の担当者を知る (正確な氏名・役職・性別など)
・担当者の個人的な情報を調べる(自社の同僚に尋ねる)
・担当者が訪問時にとりそうな態度と反論・否定を予想して、それらに対する対応を考える
・訪問する企業の事業内容・経営課題を調べる 

 

(2)これまでのリレーションシップについて調べる
 ・お客様の個人的な関心事
 ・お客様の性格
 ・取引履歴
 ・現在の取引上の課題
 ・自社に対するお客様の評価     
 ・自社の導入済みシステム(ハード/ソフト/アプリケーション 等)
 ・競合他社の導入済みシステム(ハード/ソフト/アプリケーション 等)
 ・競合他社に対するお客様の評価
 ・契約条件  

 

(3)自社の製品とサービスについて調べる
 ・自社の事業・製品・サービス
 ・新製品・新規オファリングプログラム
 ・競合他社の事業・製品・サービス・自社との比較
 ・IT業界の動向(企業・技術・サービス 

 

(4)目標を設定する
・お客様とのミーティングで得るべきアウトプット・ゴールを予め決めておく
<アウトプット・ゴールの例>
・次回訪問の日時・テーマ・メンバーについて お客様の合意を得る
・次回提示する資料・情報について お客様の合意を得る

 

(5)お客様にとってのメリットを説明できるように準備する
お客様が「あなたのために時間を割くべき理由・必要性」「あなたがお客様の役に立つこと」をお客様に説明できるようにすることは、極めて重要です。
お客様が、面と向かってあなたにこうした質問をすることは通常ありませんが、
お客様自身は意識していなくても、「自分があなたに会う メリット(会うべき理由)=あなたが自分にとって どのように役立つか」を、常に見極めようとしています。

 

2.サーベイの項目例
「サーベイ=お客様を訪問(オンラインを含む)して行う 情報収集と仮説検証」です。
これは、継続的に、繰り返して行う必要があります。一回だけの情報から得た思い込みは、禁物です。
通常、サーベイを成功させる条件は、「お客様から役に立つ存在であると 認識してもらえるかどうか」です。
・サーベイで重要なことは、5W1H+H(How Much=予算金額)についての情報を、 
「固有名詞と数字」で得ることです。

 

(1)ビジネス案件について
〇ビジネス案件の5W2H
・いつ(プロジェクト開始時期・ベンダー決定時期・システムの利用開始時期 等)
・誰が(プロジェクト責任者・エンドユーザー部門責任者・費用負担部門責任者 等)
・どこで(どの国で・どの地域で 等)
・何を(システム化する業務・領域 等)
・なぜ(システム化の目的・理由 等)
・どのように(システム化方式・ベンダー選定方式 等)
・いくらで(初期投資額・プロジェクトの総投資額 等)

 

〇ビジネス案件に関する競合他社
・競合他社はどこか
・その競合他社とお客様の関係はどのようになっているか
・その競合他社が選ばれる理由は何か(競合他社の強み) 等

 

(2)仮説検証について
 ・経営課題とIT課題
 ・IT課題の優先順位
 ・ベンダーの採用条件
 ・ベンダー選定にあたっての意思決定者
 ・意思決定者に影響を与える人物
 ・意思決定プロセス
 (お客様社内の稟議・決裁の仕組み)
 ・お客様社内のパワーストラクチャー(権力構造)

 

(3)システムについて
 ・現状の課題・問題意識
 ・競合他社のシステムに対する評価
 ・ベンダーごとのシステム化領域

 

(4)人間関係について
 ・お客様の個人的な関心事(担当者・管理者・役員)
 ・お客様の性格・嗜好
 ・お客様の判断傾向(保守的・先進的、即断即決・優柔不断 等)
 ・お客様社内の人間関係(インナーサークル)

 

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