◆答え :IT営業は 「リスクが高い」から
このパートでは、特にIT営業に絞って書きますので、一般的に言う「ソリューション営業」には、必ずしも当てはまらないかもしれません。
IT営業(PCなどの個別販売ではなく、主に情報システムの販売=導入・開発・運用・保守)は、その製品・サービスの導入・活用に関して、売り手側にもお客様にも、様々な「リスク(潜在的脅威)」が存在します。
それは、クラウドサービスを含む情報システム導入・開発・運用・保守が一般化した現在でも、毎年のように、超大手のITベンダー・通信キャリアでさえも、テレビや新聞に大きく取り上げられる深刻な(稚拙な?)システムトラブルや訴訟・裁判が起きている現状をみれば、良く分かります。
これらのトラブルが生じるリスク要因・原因は多岐にわたりますが、営業段階でのこうしたトラブルのリスク要因の一つは、「無理なシステム構成での販売」です。
つまり、お客様のシステム要件を達成できないシステム・技術的に実現が困難なシステムを、自らが売ってしまう、ということです。
こうしたリスクをコントロールする(Risk Management)手段として、アカウントプランを作り、継続的に更新・修正するための討議(アカウントプランセッション)が必要です。
さらには、提案書レビュー(Proposal Review)やシステムレビュー(Systems Assurance)が必要です。
しかし、現状では提案書レビュー(Proposal Review)やシステムレビュー(Systems Assurance)が日常的に行われる企業であっても、アカウントプランを作り、アカウントプランを定期的に討議して更新・修正する場を持つ企業は、少ないと言えます。
これでは、売り手側企業にとってのリスクを減らす手段としては、極めて危険です。
なぜかと言えば、提案書レビュー(Proposal Review)やシステムレビュー(Systems Assurance)に到る以前、営業活動の初期段階・中盤の段階で、営業活動を通じてこうしたリスクが提案に既に組み込まれてしまい、お客様は、それを元に「期待するシステム像」を作り上げているからです。
例えば、内定や契約が間近かになった段階で、それまでの説明・提案を自ら覆してお客様からの信用を失いながら、「お客様の期待値を下げさせる」ことは、営業活動としては非常に困難で、既に後戻りができない状況になっています。これは、営業活動のプロセスで、営業パーソンが自分の提案にリスクを織り込んでしまっていて、既に「会社として引くに引けない状況」を作った後です。
これを防ぐには、営業活動の初期段階・中盤の段階から、「アカウントプランを作る・アカウントプランを活用する」ことで、「営業活動・提案内容を可視化」することが必要です。
営業職だけではなくSEや上位の役職者を含めた「アカウントプラン討議(アカウントプランセッション)」を、定期的・継続的に行うことにより、可視化された営業活動・提案内容に関する Risk Management を行うことが必要です。
★情報システム(製品・サービス)を売るIT営業には、「アカウントプラン」と「アカウントプランセッションを通じた Risk Management」が 必要である、ということです。
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