◆IT業界で人生激変!-4 「コンサルティング」を理解する
これから、土建業界からIT業界に、30歳二児在りで転職・起業した、私の「会社員としての経験・転職・起業など」について、運営者自身の経験・考えを書いていきます。
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IT業界で人生激変!-4 「コンサルティング」を理解する

「IT業界で人生激変!-3」の続きです。
私は、最初の就職で、国内資本の大手化学企業のグループ採用で、当時その化学企業グループで勢いのあった「建材事業部門」に配属され、いわゆる「代理店営業(パートナーセールス)」として7年半を過ごしました。
その後、13年強勤務した、転職先の外資系大手ITベンダーでは、見積時点で1,000億円を超える巨大システムの提案コンペに敗北した年の11月に、私はそのITベンダーを退職し、同じ年の12月、当時上長であった人と同じNTTコミュニケーションズに転職しました。
そこで、ある程度プロジェクトとしての成果が出たタイミングで、大手ITベンダー時代の上長が翌年転職する際に、同じ外資系コンサルティング企業に転職しました。

 

この外資系コンサルティング企業アクセンチュアでの3年弱の経験は、現在までのコンサルティングの仕事につながる、決定的に重要な期間でした
アクセンチュアでは、国内最大級のITベンダーから受託していた「営業改革」プロジェクトに、業務の力点を移していくことになりました。
(詳しくは、「IT業界で人生激変!-3 いよいよアクセンチュアへ」をお読みください。)

 

アクセンチュアで起きた驚きの事実は、かつて所属していた外資系大手ITベンダーの社内では、「当たり前過ぎて、何の価値も無いノウハウ」であった、「アカウントプラン・アカウントプランを駆使したソリューション営業に関するノウハウ」が、「競合他社にとっては貴重なノウハウ」に変わる事象が起きた、ということでした。
そして、私にとって、このことと同じくらいに重要な出来事は、「コンサルティングを 理解する・学ぶ 機会を得た」ということでした。

 

私が大手外資系ITベンダーを退職する数年前から、この大手ITベンダーでは「社内のコンサルティング部門の強化」が、意図されていました。
実は私自身も、営業パーソンでありながら、社内の必須の研修が一通り終わった時期から「いつか、コンサルティングの仕事がしたい」という思いを持ちながら、「コンサルティングスキルを身に付ける研修」を幾つか、受講していました。
しかし、それらは本質的には、「ITベンダー自身が、ITベンダー自身のビジネス拡大を目的とするコンサルティング」であり、いわゆる「中立的な立場のコンサルティング」ではありませんでした。また、これらは後から振り返れば、内容的には「ファシリテーター育成」に近いもののように思えました。

 

「中立的とは何か?」と言えば、「自社の製品・サービスを売らない」ということです。また、「自社の製品・サービスを持っていない」と言い換えることもできます。
近年、コンサルティング会社も、コンサルティングの次の工程としてシステム開発の受託を目指すようになっていますが、いわゆるベンダー系・メーカー系と言われるコンサルティング会社を除いて、コンサルティングの後のシステム開発で使われる「製品=ハードウェア・ソフトウェア」を自社開発している、コンサルティング会社はありません。
この点が、いわゆるベンダー系・メーカー系のコンサルティング会社と、そうではないコンサルティング会社の大きな、根本的な違いです。
これは、システム開発の困難さ・リスクを考えれば、当たり前のことで、良く知らない他社製品を使おうというのは、
ベンダー系・メーカー系の会社にとって、自殺行為に等しく、仕方の無いことです。
このベンダー系・メーカー系か、そうではないか、ということの「本質的な違い」は、製品の有無ではなく、「自社の製品(ハードウェア・ソフトウェア)を持たなくても、ビジネスとして=企業として 存続できるかどうか」ということです。つまり、「自社の持つ、分析力・知見の蓄積などの 無形のもの」で、お客様から売上・利益を得られるだけの、「価値」を提供することができるかどうか、ということです。より端的な表現をすれば、「製品ではなく、ノウハウで、お客様からお金が取れるかどうか」ということです。
さらに乱暴な言い方をすれば、「製品(ハードウェア・ソフトウェア)で勝負をするのが、ベンダー系・メーカー系のコンサルティング会社」であり、「ノウハウ・分析力・知見の蓄積で勝負するのが、中立的なコンサルティング会社」ということです。
この「ノウハウ・分析力・知見の蓄積」が評価されない場合、お客様はベンダー系・メーカー系のコンサルティング会社を選ぶため、「中立的なコンサルティング会社」は、「ノウハウ・分析力・知見の蓄積」を磨かざるを得ず、おのずと「ノウハウ・分析力・知見の蓄積」に強みが現れます。
この「ノウハウ・分析力・知見の蓄積」について、理解することができたこと、メーカー系のコンサルティング会社ではなく、「中立的なコンサルティング会社の現場」を経験できたことが、アクセンチュアにおいて私が得た、最大の価値でした。

 

ここで言う「ノウハウ」とは、
「コンサルティングとしての結論にいたるまでのプロセス=いつ・だれが・何を・どのようにして、結論を導き出すかという手順」
或いは、結論としての解決策を、「実現するためのプロセス=いつ・だれが・何を・どのようにして解決策を実現するかという、実現の手順」という意味です。
また、ここで言う「分析力」とは、
「データ化されていない・できないと思われる事象をデータ化する=定量化する能力」或いは、「分析対象とする事象・データを既知のパターンに当てはめる能力=パターン認識力」
という意味です。
私が思うのは、「コンサルティング業務」の全てではありませんが、「コンサルティングとはパターン認識である」ということです。
つまり、「分析=整理であり、整理ができれば、既知のパターンやパターン同士の組み合わせによって、解決策はおのずと描かれる」ので、「分析ができれば、解決策はおのずと出てくる」ということです。
さらに、ここで言う「知見の蓄積」とは、
「知識・経験・コンサルティングの事例や結論を、蓄積して共有・再利用すること」
という意味です。
当然、これらは、私の「私見・感想」です。

 

「ノウハウ・分析力・知見の蓄積」についての理解とは、こうしたことを体験・体感することができ、大手ITベンダーの「営業改革」プロジェクトを、約6年にわたってすすめていくうえでの、「コンサルティング業務に関する基盤・自信」を得ることができた、ということです。
このことが、この時期から現在に到るまでの「コンサルティング業務」の基盤・自信となっていて、これを得たことが、その後の私の人生を更に変えていく契機になっています。